アメリカ映画

アメリカ映画の感想 『アイズ・ワイド・シャット』

キューブリック遺作。撮影&編集に3年半もかけて、死ぬ3日前にようやく完成したというのだから正真正銘の遺作だ。

何不自由なく暮らすハンサムな医者の夫と美しい妻、お互いを愛して止まないという正に絵に描いたような夫婦。彼らの間に突如湧き起こった空虚な時間、満足しているはずの性的関係の影に隠れた妄想と願望がテーマになっているのだが、クルーズ&キッドマン夫妻(厳密には元夫妻)はアブない世界をちょっと覗き見してみたり、ほんとに妄想と願望だけしかしてなくて、ラストは「やっぱり夫婦間の性生活って大切よね!」って、サルでもわかる当たり前の事を確認するだけなのである。

やっぱりキューブリックだから「この後どんな衝撃的展開が…」って願望もあるし、ハリウッドの栄光を象徴するこの夫婦を使って、どんなモノを見せてくれるのか期待してしまったわけである。だから160分余りの長尺にも耐えてきたわけである。こんなアホな結末を観るために耐えて来たのかと思うと正直呆れてしまう。ほんとにこれがキューブリック作品なのか?常に問題作、衝撃作と言われ、時にセンセーショナルであり、時にスキャンダラスであったキューブリック作品なんだろうか?


 『アイズ・ワイド・シャット』                          Eyes_wide_shut
  監督:スタンリー・キューブリック
  脚本:スタンリー・キューブリック
  撮影:ラリー・スミス
  音楽:ジョスリン・プーク
  出演:トム・クルーズ
      ニコール・キッドマン
      シドニー・ポラック
      トッド・フィールド
  (1999、アメリカ・イギリス)

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アメリカ映画の感想 『フルメタル・ジャケット』

とにかく反戦を訴える映画でもなければ、もちろん戦争を起こす国の正当性を主張する映画でもない。戦争の現実をただドライに捉えることに終始している映画である。

前半の海兵隊訓練所。兵士を造るには先ず個人が本来持つ人間性の破壊が徹底的に行われる。繰り返し罵倒し、バカにすることで自尊心を剥奪してしまう。自分を無価値な人間と刷り込み、徹底した訓練で意識改造が進むと命令に疑念を抱かなくなる、所謂殺人マシーン作りの過程が描かれる。
後半のベトナム戦場。兵士に改造された主人公が、戦場で若い女狙撃手を捕虜に出来た状況にもかかわらず、冷徹に殺害してしまう様が描かれる。
この主人公・ジョーカーは、自分に対して周りに対して常に冷静な人間であった。訓練所においても、自分が疑問に思うことには鬼教官に対しても徹底抗戦するし、戦場においても現実よりはるかに美化される戦争報道にどこか冷やかな姿勢を崩さない。しかし、そんな賢明な主人公も戦場の最前線を経験したことで最後には殺人マシーンと化してしまうのである。

キューブリックは人間性をも変えてしまう戦争というものについて、観る者を考えさせている。でも切に反戦を訴える映画でもない。そこにあるのは、戦争という現実をただ冷やかに、シニカルに見つめる視点のみである。


 『フルメタル・ジャケット』                          Full_metal_jacket
  監督:スタンリー・キューブリック
  脚本:スタンリー・キューブリック
  撮影:ダグラス・ミルサム
  音楽:アビゲール・ミード
  出演:マシュー・モディン
      アダム・ボールドウィン
      ヴィンセント・ドノフリオ
      リー・アーメイ
  (1987、アメリカ・イギリス)

  Hartman_3











↑世にも有名なハートマン軍曹シゴキのひとコマ。

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アメリカ映画の感想 『フレンチ・コネクション』

刑事ドラマの革命的作品だと思う。
例えばそれまでマックイーンなどが演じた刑事像は寡黙で、正義感に溢れていて、紳士然としたイメージであったのが、本作のハックマン演じるポパイは、ちょっと行き過ぎたところもある熱血漢で、誰にでも暴力的だし、捜査に熱中するあまり自分の私生活に対しては限りなくだらしない。
そんなドライで、決して格好良いともとれない刑事の日常とこの頃犯罪都市と化しつつあった殺伐としたニューヨークの風景、そして荒々しく鳴り響くフリー・ジャズ…当時の刑事ドラマのスタイルにある種の風穴を空け、そしてそのリアルな描写は後の刑事ドラマの基礎を築いたのではなかろうか。

結局は報われない、あっけにとられたようなラストの衝撃度、かの有名な地下鉄対車のチェイスシーンにおける息をもつかせぬ緊迫感、車を解体しての麻薬捜索シーンでの細かいカット割り、撮影中ことごとくフリードキン監督から罵倒され続けて、殺気を帯びた迫力に満ち溢れているハックマン、そのハックマンの執拗な追求を巧みに優雅にかわしていくフェルナンド・レイ・・・見どころ満載の傑作。


 『フレンチ・コネクション』                          French
  監督:ウィリアム・フリードキン
  脚本:アーネスト・タイディマン
  出演:ジーン・ハックマン
      フェルナンド・レイ
      ロイ・シャイダー
      マルセル・ボズッフィ
  (1971、アメリカ)

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アメリカ映画の感想 『コラテラル』

ハリウッドは、とにかくスターの見せ場に重きを置き過ぎるバランスの悪い演出と不味い脚本さえ回避出来れば、やはり世界ナンバーワンの娯楽映画生産場です。
本作と同じマイケル・マン監督作品「ヒート」では、スター総出演の弊害ともいうべき冗長さに辟易としたものですが、今回はストーリーの主となる部分ほとんどをトム・クルーズとジェイミー・フォックスのディスカッション劇で描ききり、彼らを取り巻く外環境の描写はさらりと流すような感じで、そこが作品のテンポの良さに繋がっているのだと思います。少々結び付けの強引さが鼻につく脚本ではありますが。

トム演じる殺し屋は、キャリア6年のまだまだ甘ちゃんレベル。冷徹さと腕前は充分に合格点を与えられるレベルだが、殺しの痕跡を残しまくるといった細かいミスを繰り返すので、タクシー運転手には徐々に図に乗られることとなる。まだまだ超一級の殺し屋とは程遠いトムが徐々に露にする焦燥感と、徐々に素の自分を取り戻し、勇気を持って行動していくジェイミー・フォックス。心理面の変化を細かく演じ分けるトム・クルーズとジェイミー・フォックスの演技合戦は見物です。

序盤で“トランスポーター”ジェイソン・ステイサムが友情出演。


 『コラテラル』                                 Collateral_2
  監督:マイケル・マン
  出演:トム・クルーズ
      ジェイミー・フォックス
      ジェイダ・ピンケット・スミス
      マーク・ラファロ
      ピーター・バーグ
  (2004、アメリカ)

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アメリカ映画の感想 『ラストサムライ』

トム・クルーズ主演のハリウッド製時代劇。
出世作となった渡辺謙の役どころは、明治維新後の征韓論に敗れて、国元へ帰り反乱を起こした江藤新平(佐賀の乱)や西郷隆盛(西南戦争)などがモデルと思われる。ただし、実際にこれらの反乱そのものを描いているわけではない。

とにかくハリウッド映画の悪い部分、アメリカの日本に対する見識の甘さが鼻につく。
まず、第一に明治時代に入って、いくら武士であろうが剣のみで戦争することなどまずもって有り得ない。戊辰戦争を知らないのか?遡れば戦国時代から国産の銃はあったのである。もっと言うなら「古き良き」を大切にするが為に、新政府と戦争を起こすことなどまず有り得ない。それなら、既に鎖国が解禁された時に尊王攘夷の風潮に乗って、外国人排斥をするのだし、新政府よりかはむしろ幕府を擁護する側に回るはず。ところが、渡辺謙演じる武士は近代的な新政府の要人に納まっているのである。これはどう考えたっておかしい。さらに本国アメリカにて、インディアン掃討作戦で傷ついていたはずのトム・クルーズは何故こんな無意味な戦いに命を懸ける必要があったのか?渡辺との出会いを通して彼はどう変化していったのか?彼は日本で何を見つけ、なぜ命を懸けてまでそれを守ろうとしたのか?単に武士道に魅せられたから?そこら辺りの筋が決定的に甘い。

単純に映画的面白さに満ちていればそれでいいという問題ではない。フィクションではあるが、歴史的背景はしっかり拝借しているのである。いい加減な、イメージだけの時代考証で、日本の歴史を歪曲させられては困る。これだから、いまだ本当に忍者や侍が居ると思い込んでいる欧米人が後を絶たないのである。本作の製作スタッフにとって、日本はいまだフジヤマゲイシャの国なのだろう。

さすがに渡辺謙はスケールが大きくて良かった。さらに、堂々とした立ち回りを演じた真田広之はあまりに格好良く、トムより目立ちすぎて出番を大分削られたとか。悲しい話である。つくづく腹の立つ映画である(だが、東映京都の大部屋俳優・福本清三さんの活躍は嬉しかったりする)。


 『ラストサムライ』                              Last_samrai_5
  監督:エドワード・ズウィック
  出演:トム・クルーズ
      ティモシー・スポール
      渡辺謙
      真田広之
      小雪
      原田真人
  (2003、アメリカ・ニュージーランド・日本)

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アメリカ映画の感想 『グッドフェローズ』

スコセッシ監督の演出センス、技法が全編に渡りいかんなく発揮されており、145分という尺が少しも長く感じられません。月並みだけど単純に“面白い”という言葉しか浮かんでこないような傑作です。中学生の頃でしたか、映画好きの母親とオールナイト上映に出掛けたことがあって、この映画にするか『ダイ・ハード2』にするかで結局『ダイ・ハード2』を選択してしまったこと、今でも悔やんでおります(笑)

オープニングは1970年。ここは物語の始まりでも終わりの部分でもありません。物語の要、転機の場面です。ここより、幼い頃からマフィアに憧れ続けたヘンリー(レイ・リオッタ)の過去と未来が語られます。この1970年より過去の時間は、幼少期から恵まれない環境に育ち、マフィアとして栄光をつかみとるまでが、ゆったりと甘美に~まるで積木を一個一個丹念に積み上げて行くかのように~描かれていますが、ここより未来になるとその様相は一転し、積み上げてきたもの~栄光~が雪崩のように一気に崩れ去るかのごとく、バタバタとした展開を見せます。この過去と未来の演出の違いが絶妙です。過去では流麗なカメラワークと、個性溢れる登場人物たちをじっくりと腰を据えつつ活写していますが、後半はヘンリー自身の運命の歯車が急速なスピードで狂い始めるのに呼応するように、ドキュメンタリータッチが幅を利かせ始めます。オープニングが、物語の中半だった為に、再びその場面に出会った時、観る側としてはこれから何が起こるのか?という好奇心を絞り込む事が出来るのです。

俳優たちも見事です。マフィアに憧れつつも、根が優しい人間なのか非情になりきれないレイ・リオッタは確かにマフィアと呼ばせるには違和感がありありなのですが、マフィアの世界に身を置きつつ、この世界について客観的な見方が出来るという役まわりは、狂言回しとしてはぴったりです。安定感バッチリ、何も言うことは無いデニーロに、観る者に最大級の恐怖を植えつけるジョー・ペシ(本作でアカデミー助演男優賞受賞、受賞スピーチは「サンキュー」の一言だけというクールぶり)が圧巻です。ついでに、と言っては何ですが、まだ売れる前のサミュエル・L・ジャクソンもちょこっと顔を見せています。

さながらロック年代史とも言える、その時代時代に合わせた音楽もこれまた見事。粛清シーンに「いとしのレイラ」のピアノソロとは恐れ入りました。


 『グッドフェローズ』                              Goodfellas_2
  監督・脚本:マーティン・スコセッシ
  出演:レイ・リオッタ
      ロバート・デ・ニーロ
      ジョー・ペシ
      ロレイン・ブラッコ
      ポール・ソルビノ
  (1990、アメリカ)

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アメリカ映画の感想 『ギルバート・グレイプ』

僕が高校時代くらいの映画です。
高校生のころ、ジュリエット・ルイスが好きだったのですが、ウィノナ・ライダー好きの友人とどっちがイイ女かで激論を交わしたことを思い出します(笑)


家族の苦労を一身に背負ってしまったように、いつも憂鬱そうな顔をしている主人公のギルバート(ジョニー・デップ)。18歳なのだがちょっと知恵遅れの弟アーニー(ディカプリオ)や、巨漢のお母さんの面倒を見ることにいい加減疲れた様子。そんな中、トレーラーでアメリカ中を旅して回り、ふとしたきっかけでギルバート達に出会うベッキー(ルイス)にギルバートは恋をするのですが、ギルバートは近所の奥さんと不倫中で…。

まさにアメリカの片田舎、カントリーという言葉の代名詞のような村のほのぼのとしたロケーションと暖かな愛情に包まれたストーリーがうまくマッチしており、観ている側も優しい気分に浸れる映画です。自然に可愛いジュリエット・ルイスは、15年以上の時が流れた今見ても恐ろしく魅力的です。ディカプリオは、若い頃から演技派といわれただけあって、この手の難役も簡単にこなしています。圧巻は超巨漢のギルバートの母親です。この人、ダーレーン・ゲイツという人で、実はこの映画が演技初体験の素人さんです。詰め物なしの巨体で、有無を言わせない存在感を誇示します。そんな母親がラストで亡くなって、悲しさと、自分の重荷が一つ取り除かれたような安堵感との両方に苛まれるギルバート。

このシーンを筆頭に、少ない動きと表情から、主人公のどうしようもない苦々しさや憂鬱を表現したジョニー・デップ。個性的な面々に囲まれながら、やはりこの映画を支えているのはまぎれもなくジョニー・デップであるということを再確認しました。エキセントリックな役どころも多い個性派俳優としての認識が強いジョニー・デップですが、こういう極力感情表現を抑えた役どころも普通にこなしてしまうあたり、懐の深い俳優さんだなとつくづく思います。


 『ギルバート・グレイプ』                Gilbert               
  監督:ラッセ・ハルストレム
  原作・脚本:ピーター・ヘッジス
  出演:ジョニー・デップ
     
レオナルド・ディカプリオ
            ジュリエット・ルイス
   (1993、アメリカ)

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