日本映画の感想 『沖縄10年戦争』
本土復帰直後の沖縄が舞台だけに登場人物たちが皆、本土に対する劣等感や嫌悪感を露にしたり、海洋博覧会が失敗に終わったりとネガティブなイメージが先行している。そのためかどうかはわからないが、沖縄本土でのロケ及び公開は中止にされたという作品。内容そのものも、なにか難解な印象を残す部分が多くて、トラブルのダメージをモロに受けてしまっている感じ。やくざの抗争というよりかは、もはや戦争に近いテイストで重火器満載の肉弾戦を繰り広げるところが魅力だった『沖縄やくざ戦争』と比べ、本作は抗争の火種があまりにも短絡的というか子供じみていて、カリカチュアライズ満載の東映とはいえ、さすがにリアリティの無さがいちいち鼻につきます。これを見せれば「馬鹿にするな」と本当に沖縄の人は怒っていたのかもしれない。
連合のまとまりの無さと勝手に突っ走る若者に頭を抱える松方はあまり暴れないし、千葉も妻子持ちという設定のせいか『沖縄やくざ戦争』のキレには程遠い。そんな消化不良気味の主演二人に代わって、この映画では東映カラーにはそぐわない若手たちが意外な活躍をみせる。ここぞというときに限って必ず目がかすむパンチドランカー・にしきのあきらも周りの人間にとっては邪魔者以外の何者でもないが、節目では重要な鍵を握る役どころ。渡辺“お宅訪問”篤史もかなりのファイトぶりだし、笑点の座布団持ち・山田隆夫に至ってはその死に様が本作中ナンバーワンのドラマチックな描き方をされている。何故に末端中の末端やくざの死に様がクローズアップされるのか意味不明であるが・・・
他では相変わらず、小池朝雄御大の老獪ぶりとこの手の映画では珍しい、藤田まことの渋い演技は良かった。
とにかく、友情と対立の狭間で苦悩する松方・千葉の姿が描きたかったのか、本土対沖縄ヤクザの抗争を描きたかったのか、それとも末端やくざの破滅的青春が描きたかったのか・・・いまいちコンセプトが掴みにくい作品。
『沖縄10年戦争』
監督:松尾昭典
脚本:志村一浩、松本功、大津一郎
撮影:赤塚滋
音楽:鏑木創
出演:松方弘樹、千葉真一、小池朝雄、
曽根晴美、にしきのあきら、山田隆夫、
渡辺篤史、野川由美子、菅貫太郎、
今井健二、佐藤允、藤田まこと
(1978、東映京都)
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

















![: 昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51S1RLiua2L._SL75_.jpg)





最近のコメント