東映バイオレンス

日本映画の感想 『沖縄10年戦争』

本土復帰直後の沖縄が舞台だけに登場人物たちが皆、本土に対する劣等感や嫌悪感を露にしたり、海洋博覧会が失敗に終わったりとネガティブなイメージが先行している。そのためかどうかはわからないが、沖縄本土でのロケ及び公開は中止にされたという作品。内容そのものも、なにか難解な印象を残す部分が多くて、トラブルのダメージをモロに受けてしまっている感じ。やくざの抗争というよりかは、もはや戦争に近いテイストで重火器満載の肉弾戦を繰り広げるところが魅力だった『沖縄やくざ戦争』と比べ、本作は抗争の火種があまりにも短絡的というか子供じみていて、カリカチュアライズ満載の東映とはいえ、さすがにリアリティの無さがいちいち鼻につきます。これを見せれば「馬鹿にするな」と本当に沖縄の人は怒っていたのかもしれない。

連合のまとまりの無さと勝手に突っ走る若者に頭を抱える松方はあまり暴れないし、千葉も妻子持ちという設定のせいか『沖縄やくざ戦争』のキレには程遠い。そんな消化不良気味の主演二人に代わって、この映画では東映カラーにはそぐわない若手たちが意外な活躍をみせる。ここぞというときに限って必ず目がかすむパンチドランカー・にしきのあきらも周りの人間にとっては邪魔者以外の何者でもないが、節目では重要な鍵を握る役どころ。渡辺“お宅訪問”篤史もかなりのファイトぶりだし、笑点の座布団持ち・山田隆夫に至ってはその死に様が本作中ナンバーワンのドラマチックな描き方をされている。何故に末端中の末端やくざの死に様がクローズアップされるのか意味不明であるが・・・
他では相変わらず、小池朝雄御大の老獪ぶりとこの手の映画では珍しい、藤田まことの渋い演技は良かった。

とにかく、友情と対立の狭間で苦悩する松方・千葉の姿が描きたかったのか、本土対沖縄ヤクザの抗争を描きたかったのか、それとも末端やくざの破滅的青春が描きたかったのか・・・いまいちコンセプトが掴みにくい作品。


 『沖縄10年戦争』                             Okinawa10
  監督:松尾昭典
  脚本:志村一浩、松本功、大津一郎
  撮影:赤塚滋
  音楽:鏑木創
  出演:松方弘樹、千葉真一、小池朝雄、
      曽根晴美、にしきのあきら、山田隆夫、
      渡辺篤史、野川由美子、菅貫太郎、
      今井健二、佐藤允、藤田まこと
  (1978、東映京都)

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日本映画の感想 『沖縄やくざ戦争』

やくざ映画?否。どちらかと言えばもう戦争映画のテイストに近い。

とにかく、千葉真一がキレまくり。『仁義なき戦い 広島死闘編』の大友勝利も凄いが、こちらはその凄みに会得したての殺人カラテが加わって、さらに恐ろしいことになっている。冒頭のシーンでいきなり居酒屋を襲撃。手刀でビール瓶を割るわ、テーブル叩き割るわ、主人をボコボコにするわの大騒ぎ。しかも、その居酒屋が本土から来たチェーン店だ、っていうのが理由なのだから恐ろしい。
更に室田さんに対する仕打ちがこれまた酷い。自分たちの縄張りにほんのちょっと入りこんだだけの室田さん以下若衆数人。そこでしでかしたことと言えば、カキ氷を売っただけ。そんな可愛いシマ荒らしに対してなんと千葉は「ペンチでペニス落としの刑」を執行である。幾ら何でもやり過ぎ。狂い果てている。そして、幹部会の席で、ウイスキーをラッパ飲みしながら「戦争だ~いすき」の名台詞。ほとんど野獣と化している。ついでに子分の地井武男も実にイヤらしい男である。

そんな無茶苦茶過ぎる千葉に兄弟分・松方弘樹も遂に業を煮やす。千葉のために大阪の大組織まで詫びを入れに行ったのに、千葉から「本土のヤマトとつるみやがってェ~」と逆ギレされ、刺客・渡瀬恒彦&尾藤イサオを放つ。千葉も千葉で、昼間には松方に対してそんな態度をとっておきながら、夜になると「チョーデイ(兄弟の意)と呑みたくなっちったheart」と可愛く再登場。野獣性に多重人格まで被さるのだから、まったく面倒なことこの上ない。でも時すでに遅し。物語中盤で千葉真一はあえなく絶命する(この絶命の仕方がまたワイルド。最後は逆上がりしながら息絶える)。

中盤以降、松方や渡瀬といった面々が千葉のキチガイキャラを引き継いだかのごとく暴れまくるのだが、やっぱり千葉真一のインパクト強過ぎてイマイチおとなしく見えてしまいます。「戦争映画のテイストに近い」と冒頭に述べたが、とにかくこの映画、殺しあいばかりやっている。かといって、決して残酷なカラーの映画でもない。むしろ、沖縄のハイビスカスのように華やかな映画。沖縄だからってやくざの幹部会で全員がお茶の代わりにコーラを飲んでいる、というお馬鹿な感じがナイスな映画でもあります。


 『沖縄やくざ戦争』                             Okinawa
  監督:中島貞夫
  脚本:高田宏治、神波史男
  撮影:赤塚滋
  音楽:広瀬健次郎
  出演:松方弘樹、千葉真一、渡瀬恒彦、
      新藤恵美、ひろみ麻耶、地井武男、
      成田三樹夫、梅宮辰夫、尾藤イサオ、
      室田日出男、織本順吉、片桐竜次
  (1976、東映京都)

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日本映画の感想 『激突!殺人拳』

殺人拳シリーズ第1作。日本における空手映画の第1作でもある。
とにかく狂い果てていると評判の本作だが、実際観た感じではそんなに逸脱している風でも無かったなぁ。ただ、予告編でも「ブルース・リーに挑戦する!」などと高らかに宣言しているあたり、相当力が入っていたのは事実みたいで、いろいろと試行錯誤したあげく「アレも入れちゃえ、ついでにコレも行っとこう」てなノリで、ごちゃ混ぜを繰り返した結果、ついには収拾がつかなくなったという印象。
いろんな国籍の人が登場しますが、とにかくこちらがそれとわかり易いメイクや扮装も無しで、片言の日本語を喋る日本人俳優、普通に日本語を喋る日本人俳優、日本語をたどたどしく喋る本当の外人やらが登場して、アラブ人やら香港人やら中国人やら日本人を演じているので混乱きたしそうですが、別にそういうのがどうでもよくなるような異常なパワーには満ちています。

善か悪か?ただの金の亡者か?それとも多少なりとの義侠心は持ち合わせているのか?よくわからないキャラになってしまっている千葉真一ですが、とにかくこの人の必殺拳法炸裂シーンが全体の八割ほどを占めます。「ホゥ~、ハッア~」とよくわからない気合や大袈裟な顔面演技はほとんどお笑いの域ですが、確かに身体のキレは抜群で、本作がアメリカではカルトムービーとして崇拝されていて、空手といえばブルース・リーではなく千葉真一と言わしめるほどの高みに達しているだけのことはある。ある意味、予告編の「ブルース・リーに挑戦」というミッションは達成されてるわけですから、それはそれで素晴らしいことなんじゃないかと・・・(何のこっちゃ)。

「報酬はちゃんと支払え!」と千葉から逆ギレを浴びせられ、ビルの窓から落ちて死ぬ千葉治郎と売春宿に売られてしまう志穂美悦子の兄妹は可哀相の一言。そんな兄妹の長兄が琉球空手の達人であり道場破りで七人殺してしまい死刑判決を受けてしまうという、キャラ設定に無理あり過ぎな石橋雅史。志堅原(しけんばる)という名前は何だか格好良いが、実妹・志穂美もろとも千葉を剣で串刺しにするも致命傷には至らなかった千葉に声帯をひきちぎられるという悲惨な最期。でも実はまだ死んでないので、続編『殺人拳・2』に再登場します。
アラブの石油王の娘に、どう見ても日本人にしか見えない中島ゆたか。そのアラブの石油王の側近にこれも日本人そのものの遠藤太津朗。香港マフィアとつるんでいる日本人ヤクザの組長が渡辺文雄で、変な片言の日本語を喋る香港マフィア役が風間千代子と汐路章。変な中国人役で千葉と共同生活を送っているのが山田吾一。アラブ人や同じ香港マフィアとつるんでいたはずだが、途中から単純に強い後継者探しにシフトチェンジしていって、物語にいっそうの混乱を招くのが山本麟一。

津島利章による劇伴がかなりの格好良さ。津島氏といえばやっぱり『仁義なき戦い』のテーマということになるのでしょうが、この自己主張が強い感じの殺人拳のテーマも良い。ところが予告編ではなぜか山下毅雄による『現代やくざ 血桜三兄弟』のテーマが使いまわしされてます。


 『激突!殺人拳』                             Satsujinken
  監督:小沢茂弘
  脚本:高田宏治、鳥居元宏
  撮影:堀越堅二
  音楽:津島利章
  出演:千葉真一、山田吾一、中島ゆたか、
      石橋雅史、山本麟一、千葉治郎、
      志穂美悦子、遠藤太津朗、汐路章、
      渡辺文雄、天津敏、オスマン・ユセフ
  (1974、東映京都)

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日本映画の感想 『女番長〈スケバン〉ブルース 牝蜂の挑戦』

女番長シリーズ第2作。なんでも女番長と書いて〈スケバン〉と読ませるのは、則文監督自身のアイデアだとか。

池は自称「ネリカン帰りのズベ公でヤサグレのアバズレ」。現代人にはほとんど理解不能なキャッチフレーズですが、とにかく悪い子ということなんでしょう。そんな池や杉本美樹らパール団は京都のズベ公グループ。京都駅前の旧三和銀行前で修学旅行生に舞妓ブロマイドを高く売りつけたり、新京極の成人映画館・八千代館前でキャットファイトを繰り広げたりと、本当に京都の街中で撮影をしています。風間千代子率いる黒ユリ会はたぶん吹田市あたりのローカルズベ公。
京都進出を狙って、エキスポランドの駐車場でパール会とタイマン勝負しますが、そこへ仲裁に入るのが、愚連隊あがりながら今はレーサーを夢見る青年・宮内洋。そんな宮内の兄貴分として友情出演するのが、不良番長・梅宮辰夫。
パール会と黒ユリ会の抗争に乗じて、ズベ公たちをコールガールに仕立てあげようと目論むのが暴力団・黒地組。小池朝雄御大が組長で藤木孝がその幹部という、むさ苦しい組織です。その黒地組とパール団を行ったり来たりしてフラフラと暗躍するのが荒木一郎。
ここに大筋とはあまり関係のない、いい加減な不動産屋・山城新伍やエロ和尚・由利徹、ヒマそうなバイク警官・大泉滉などいつものコメディーリリーフが絡みます。あまり関係がないといえば、宮内いきつけの大阪のバーのママが実は池の生き別れた母だった、と唐突過ぎるサイドストーリーが割り込んできますが、この母を演じるのがなぜか小山明子です。

パール団と黒ユリ会のタイマン勝負中に流れるのがコテコテのド演歌だったり、由利徹の絶倫体操、山城新伍の女風呂潜入、など腰抜けしそうなお笑い場面続出ですが、池玲子が小池朝雄からリンチを喰らう部屋には全面、洋ピンのポスターが貼ってあったりと今回もストレート過ぎる則文監督流の様式美が炸裂します。ラスト、池がホテルの回転ドアの中で小池朝雄にドスを見舞うシーンもかなり決まってます。


 『女番長ブルース 牝蜂の挑戦』                    Mesubachi_chousen
  監督:鈴木則文
  脚本:鈴木則文、皆川隆之
  撮影:古谷伸
  音楽:鏑木創
  出演:池玲子、風間千代子、杉本美樹、
      女屋実和子、藤木孝、宮内洋、
      由利徹、荒木一郎、梅宮辰夫、
      小池朝雄、山城新伍、大泉滉、
      岡八郎、渡辺やよい、小山明子
  (1972、東映京都)

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日本映画の感想 『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』

この映画と石井監督の『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』は、主演が同じ“猪の鹿お蝶”(池玲子)ということで、シリーズものという体裁でしょうか?ちなみに両作のストーリーに関連性は全くありません。まぁ、不良姐御でもやさぐれ姐御でもどっちでもいいわい、という話なんですが。

『やさぐれ姐御伝』も猥雑なエネルギーが爆発した傑作ですが、これはこれでまた、則文イズム炸裂の傑作だと思います。キリスト像を前にしてのムチ打ちシーンなど、権力と宗教へのアンチテーゼという則文節はいつも通りですが、エロ、アクション、スリル、恋愛・・・とにかく魅せるということに関しては120%観客の要望に応えてくれます。同じ鈴木は鈴木でも清順美学とはよく言われますが、則文美学というジャンルも確立されてしかるべし。赤・青・黄・緑とルービックキューブのような畳の上で、早乙女りえが名和宏に襲われるシーンが素晴らし過ぎです。

今回も池玲子が素っ裸でバッタバッタと男どもをなぎ倒します。元祖ポルノ女優というレッテルを貼られてしまった彼女ですが、『やさぐれ』の項でも述べたように、やっぱり殺陣やキザな台詞がサマになるんですわ。この人の揺るぎないスター資質を再確認したという感じです。
「日本を第二次アヘン戦争の舞台にすべく本国から送り込まれた特殊工作員」という凄いキャラのクリスチナ・リンドバーグは相変わらず無機質でダウナー。
悲愴感漂う場面や絡みの場面でも、一向に感情の昂ぶりを感じさせないところが笑えます。そのクリスチナと昔、恋仲だったのが成瀬正孝。若き反体制活動家という役どころです。実録やくざ映画でみるチョイ役の成瀬はゴリゴリの男臭い男前という印象ですが、本作の成瀬はサラサラヘアーのヤサ男。この濃い面子が揃った映画の中で、一服の清涼感を与えてくれます。
東映のエロ御大・名和宏も大活躍。「お前のような女を淫乱と言うのだ」とか「この熱い身体を冷ましてくれないか」などと、ストレートな台詞が冴え渡ります。
タイガーバームのような色狂いの秘薬を女の股座に塗りこむのがお得意の手口ですが、全身にドイツ製の毒薬を塗りこんだ池の裸体にむしゃぶりついて毒殺されるという、面白い死に方をします。これが池の実父(殿山泰司)を殺した犯人の一人、鹿の刺青の男。猪の刺青が地元有力者の河津清三郎。そして蝶はというと、河津の妻にして池の産みの親でもある三原葉子。お湯をかけると背中に蝶の刺青が浮かびあがる。どんな身体してんだよ(笑)

音楽は荒木一郎。特筆もの。やっぱこの人は音楽オタクなんだろうなぁ。
エレガント、ロック、大正琴・・・和洋折衷、変幻自在の劇伴はサントラ熱望の格好良さ。『やさぐれ』の鏑木先生とはまた違った味がある。特に最初のほうの遠藤辰雄の賭場で繰り広げられる格闘シーンに被さる軽妙なギター・ソロとラスト、河津の屋敷での大立ち回りに被さるグラムロック調の劇伴が出色です。


 『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』                      Inoshika
  監督:鈴木則文
  脚本:鈴木則文、掛札昌裕
  撮影:わし尾元也
  音楽:荒木一郎
  出演:池玲子、クリスチナ・リンドバーグ、
      成瀬正孝、根岸明美、三原葉子、
      早乙女りえ、碧川ジュン、名和宏、
      大泉滉、河津清三郎、遠藤辰雄、
      林真一郎、岡八郎、殿山泰司
  (1973、東映京都)

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日本映画の感想 『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』

桑田佳佑がよくライブで「フリー、セックス!」と意味もなく叫んでおりましたけどね。とにかく、このワードを叫ぶだけで何故かハイな気分になれる。それくらい、6~70年代の日本にとって、フリーセックスとは刺激的な言葉だった(と推測される)。いまやスウェーデンといえば、イブラヒモビッチやカーディガンズ(古?)であるが、この当時、スウェーデンといえばフリーセックス。フリーセックスといえばスウェーデン。そんな国から東映が三顧の礼を尽くして招聘したのが、クリスチナ・リンドバーグである。

おそらくは東映・岡田社長の指示によるものであろう身もフタもないタイトルだが、別にクリスチナが日本列島津々浦々、男とヤリまくるとかそういう類の話ではない。自分が麻薬の運び人をさせられているとは露知らず、ほとんど観光気分で一人日本に降り立ったスウェーデン女と、何をやっても駄目なうだつの上がらない男。二人のつかの間の出会いと破滅までを描いている。

例によって荒木一郎は気だるいムードを漂わす。ほんとうは気が小さくて優しい人間だが、いつか鬱積したものを吐き出してやろうとばかりに、標的すら定まらない内からせっせと爆弾作りに励む孤独で危ない野郎である。ひょんなことから出会った言葉も通じない外人女を喜ばそうと、自分のお腹にマジックで顔を書いて踊り狂うシーンが、叙情的でなかなかに良い。肝心のクリスチナはまるで人形のような顔立ちである。但し、美しいが生気には欠けている。こんな二人が強姦から始まったハードな出会い、言葉の壁を乗り越えて、愛を育んでいく過程が意外なほど丁寧に描かれる。世間からつま弾きにされた人間たちが綴る悲喜こもごもの人間模様。中島監督、お得意パターンの映画ですね。朝焼けの四条大橋、夕焼けにそびえる東寺の五重塔など時折登場する何気ない京都の風景が美しい。
ところで、アレキサンダー1世、どんぐりケンって誰だ?


 『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』                Porno_sex
  監督:中島貞夫
  脚本:金子武男、中島貞夫
  撮影:国定玖仁男
  音楽:荒木一郎
  出演:荒木一郎、クリスチナ・リンドバーグ
      粟津號、有川正治、川谷拓三、
      片桐竜次、どんぐりケン、アレキサンダー1世
  (1973、東映京都)

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日本映画の感想 『殺人拳・2』

殺人拳2。ちなみに1は見ていない。近所のビデオ屋に無いのだからしょうがない。青がかった回想シーンが何度かあるが、多分、前作のものでしょう。そうやって、尺つなぎをしているみたいです。

ストーリーなどあって無いようなもの。とにかく、千葉真一の行くところ敵だらけである。一に格闘、二に格闘、三四がなくて五に格闘。街中で雪山でサウナでベッドで・・・バッタバッタと敵たちをなぎ倒していく千葉。そして、マニア対象?と思わせるくらい、しつこく見せられる中国拳法やら琉球古武術やら空手やらの鍛錬。人間が動いている場面ならともかく、ヌンチャクでブロックがかち割られる瞬間をアップしてスローモーションでじっくり見せる意味がよくわからん。

とにかく、回想、鍛錬、格闘を適当に繋ぎ合わせた感じのやっつけ仕事的な映画です。唯一、ストーリーには何の関係もなく出てくる山城新伍のくだりだけがホッとさせられる。ブヨブヨの身体で「わて空手4段だっせ。これ余談になりますがね・・・変形!松葉くずし!!」などとほざいています。


 『殺人拳・2』                                 Satsujinken2
  監督:小沢茂弘
  脚本:高岩淡、小沢茂弘
  撮影:吉田貞次
  音楽:津島利章
  出演:千葉真一、市地洋子、石橋雅史、
      田中浩、岩尾正隆、クロード・ガニオン、
      山城新伍、鈴木正文(正武館道場)
  (1974、東映京都)

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日本映画の感想 『やくざ戦争 日本の首領』

2週間ごとに二本立という驚異的ペースで映画を封切っていたB級プログラムピクチャー時代から映画は大作志向へ。70年代中盤から後半にかけて、邦画界は変革期を迎えていた。そんな中、“ヤクザ映画の東映”が満を持して放ったエポックメイキング。破格のスケールで送る和製ゴッドファーザーです。

日本統一を目論む巨大ヤクザ組織。政財界とのパイプを強め、組織の肥大とともに、武闘派ヤクザの千葉真一始め、若者頭の鶴田浩二までもが切り捨てられてゆく。物静かな佇まいながらも、徐々に巨大組織の首領(ドン)としての非情さを露にしていく、佐分利信が圧巻。意地でも組の解散に拘る鶴田浩二に大量のモルヒネを投与、死に至らしめる医師・高橋悦史に対し、佐分利は娘婿でもある高橋に「鶴田の死因は何だ」と問う。「私もファミリーの一員ですよ」と答える高橋。ついさっきまで佐分利は鶴田に「お前は俺の分身・・・」などと言っていましたが、「よくやった」と高橋を労う。ゾクっとさせられるラストシーンです。

音楽に黛敏郎を招聘したりと、とにかく今までとは違うスケール感にこだわった本作ですが、オールスターキャストを揃えた集団群像劇の中にも、首領の娘と関係を持ってしまう尾藤イサオ、妻を鶴田に寝盗られた恨みもあって、ヒットマンとして鶴田を狙うことになる火野正平など末端ヤクザの人間模様も丹念に描かれている。この辺りは、高田宏治脚本と中島監督の色がよく出ていたなと思います。


 『やくざ戦争 日本の首領』                       Japan_don_2
  監督:中島貞夫
  脚本:高田宏治
  撮影:増田敏雄
  音楽:黛敏郎、伊部晴美
  出演:佐分利信、鶴田浩二、千葉真一、
      松方弘樹、梅宮辰夫、菅原文太、
      市原悦子、西村晃、成田三樹夫、
      織本順吉、尾藤イサオ、火野正平、
      渡瀬恒彦、小池朝雄、金子信雄
  (1977、東映京都)

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日本映画の感想 『実録・私設銀座警察』

1973年、『仁義なき戦い』『広島死闘編』と立て続けにヒットを飛ばした、東映京都発実録路線。そんな流れに対する東映東京撮影所の答えが本作なのでしょうか。あまりにも短絡的、壮絶かつデスメタルな一編です。

終戦直後、ヒロポン・パンパン・カストリがメインの暗黒街と化した銀座を舞台に、予科練帰りや特攻隊の生き残り、戦前派博徒などが結集し暴力団を結成。俗称「私設銀座警察」の誕生である。銀座警察は抜群のチームワークで瞬く間に銀座を支配。しかし、勢力拡大に連れて今度はソッコー仲間割れ。あとは裏切りと暴虐のオンパレード。

まぁ、しかし・・・世の中とんでもない映画というのはあるものです。冒頭、赤ん坊をいきなりドブ川に叩き込み女房の頭をブロックでカチ割る渡瀬恒彦、堂々たる主演と目されながらも、中盤でヒロポンジャンキー渡瀬に手のひらと額をブチ抜かれ絶命する安藤氏、切り刻まれて豚のエサになる内田朝雄など数え上げたらきりがありません。他にも、タバコ銭をケチり部下を半殺しにする葉山&室田さんの了見狭~いコンビや、ひたすら下半身至上主義で調子の良さだけが取り得の梅宮辰夫・・・まともな登場人物は誰一人いないこと自体が異常です。でも、何といってもこの映画における渡瀬恒彦については、触れておかなければならないでしょう。前述の赤ちゃんのくだりなどはまだまだ序の口レベルで、ヒロポンジャンキーとなった後は、安藤氏だけでなく、その子分・小林稔侍と新婦・藤浩子も結婚式当日に殺害、さらには安藤氏の子分にマメのように銃弾をブチ込まれ、半死状態で埋められてもゾンビの如く土から這い出てきます。十津川警部やおみやさん、さらにさかのぼればバスクリン裸の王様、もっと言わせてもらえば元電通マンの面影は、最早そこにはありません。
ラスト15分。逮捕が間近に迫り、銀座警察生き残りの梅宮&葉山は残った金を散財すべくボカシ入りまくりの大乱交パーティーに突入。その傍らの便所では、渡瀬氏がヒロポン中毒と胃潰瘍が相まって、吐血しまくり。乱交パーティーと苦しむ渡瀬氏のシーンが何度も何度も交互に映し出される・・・このラストシーンのカオスは凄いの一言。東映やくざ映画には珍しく、全編を流れるBGMが荒々しいフリージャズ。それがまた凄惨なバイオレンスと奇跡的に化学反応する。そして、前述のラストシーン。物哀しげなサックスソロが言いようの無い虚無感、絶望感を助長します。

とにかく、エロ、グロ、バイオレンス、人種差別・・・ヤバイこと一通りやっちゃってます。女性が見ると確実に気分を害すること請け合いなので、決してオススメ出来ません。男性、或いは比較的ヤクザ映画好きの人にも、本作を見る前には万全の態勢と覚悟で臨むことをオススメします。ちなみに監督は『男たちの大和』『敦煌』『人間の証明』でお馴染みの巨匠、佐藤純弥監督です。


 『実録・私設銀座警察』                          Shisetsu
  監督:佐藤純弥
  脚本:神波史男、松田寛夫
  撮影:仲沢半次郎
  音楽:日暮雅信
  出演:安藤昇、渡瀬恒彦、梅宮辰夫、
      葉山良二、室田日出男、郷鍈治、
      待田京介、内田朝雄、田口計、
  (1973、東映東京)

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日本映画の感想 『安藤組外伝 人斬り舎弟』

日本一ケンカが強いと言われていた伝説のヤクザ、安藤組・花形敬の半生をモデルとして製作された本作。「安藤組外伝」と銘打っている為、番外編扱いという体裁かもしれませんが、豪華キャスト、そして京都撮影所から出向の中島監督のダイナミックな演出によって、安藤組の発祥から解散までが、集大成的に描かれています。実際、菅原文太が主演の作品なので、安藤組サクセスストーリーはあくまで駆け足ではあるのですが。

やはり文太は、こういう狂気をはらんだ役どころがよく似合う。菅原文太の代表作は?と問われれば、まぎれもなく『仁義なき戦い』ということに世間一般ではなるのでしょうが、菅原文太という俳優単体で見れば、やくざ社会の“政治”に翻弄されて耐える広能昌三よりも本作の日向謙、または『人斬り与太』シリーズのまさに狂気に彩られた役どころこそが十八番だと思います。そんな日向や同じく狂犬的な野田(梅宮辰夫)をさすがの存在感で受け止める安藤氏もやっぱり破格のスケールです。


 『安藤組外伝 人斬り舎弟』                  Hitogiri_syatei
  監督:中島貞夫
  脚本:松田寛夫
  撮影:仲沢半次郎
  音楽:広瀬健次郎
  出演:菅原文太、梅宮辰夫、安藤昇、
      室田日出男、名和宏、郷鍈治、
      成田三樹夫、前田吟、小松方正、
      渡瀬恒彦、片桐夕子、今井健二
  (1974、東映東京)

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