日本映画の感想 『蘇える金狼』
松田優作がアクションスターとして油の乗り切っていた頃の映画である。この後、自ら肉体派としての看板を下ろし、最後の作品となった『ブラック・レイン』まで、ひたすらに静の演技を模索していたことを鑑みれば、アクション俳優・松田優作の集大成的作品だと位置づけられるかもしれない(翌年製作の『野獣死すべし』では、優作は歯を抜き、背を低くするために足の骨を削ることまで考案。“生気のまるで無い殺人マシン”というキャラ造型を徹底しており、正統派アクションからは外れた作風で、個人的には異色作と位置づけている)。
『蘇える金狼』
とはいえ、別に世に言われるほどの名作とは思えない。とにかく、合間合間に挟まれる主人公・朝倉のクラシックを聞きながら、ヘンなお面を被ったりしつつの自画自賛シーンが冗長過ぎて、テンポが悪い。まぁ、角川映画らしいといえば、らしいシーンではあるのだが。
とにかくこの映画、クセ者俳優たちの大見本市という感じである。これが個人的には楽しかったりする。
主人公・朝倉が勤める東和油脂の経理部次長が小池朝雄御大。経理部長が成田三樹夫。専務が草薙幸二郎で社長が佐藤慶。まことに胡散臭い会社である。成田三樹夫経理部長の女で、朝倉に利用されるのが風吹ジュン。朝倉の同僚に岩城晃一と加藤健一。佐藤慶社長の末娘に真行寺君枝。東和油脂を強請る小悪党に千葉真一。千葉真一の女・結城しのぶ。千葉真一の叔父で経済界の大物・安部徹。安部徹の腹心に椎谷建治、江角英明。千葉真一への対策として東和油脂に雇われた興信所所長が岸田森。岸田森の部下・高橋明。岸田森が雇った神戸の殺し屋・待田京介(意外なほどのチョイ役)とトビー門口。ヘロイン取引で私服を肥やす悪い政治家に南原宏治。南原宏治の手先となって働いていたヤクザが今井健二、阿藤海、山西道広。朝倉に現金輸送車を襲われた銀行の専務が久米明。ラストシーンのスチュワーデス役が中島ゆたか。
監督:村川透
脚本:永原秀一
撮影:仙元誠三
音楽:鈴木清司
出演:松田優作、風吹ジュン、千葉真一、
佐藤慶、小池朝雄、成田三樹夫、
安部徹、岸田森、待田京介、阿藤海、
岩城晃一、今井健二、結城しのぶ、
久米明、山西道広、南原宏治
(1979、角川春樹事務所)
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