日本映画の感想 『嫌われ松子の一生』
この映画、130分か。いやぁ、しんどいなぁ。仕事で疲れきった身体には堪えるわい。
まったく救いようのない物語を思いっきりポップに、ファンタジックに見せているが、例えれば、いろんな曲のPVやアクション映画の予告編を休むことなく2時間強見せられているような感覚。とにかく息つく間がない。それなりに面白いことは面白いんだけど。
昭和22年生まれの松子の人生は、とにかく男に依存し、翻弄され、振り回されてあっけなく終わる。伊勢谷友介とのエピソードなど見ると、70年代の東映やくざ路線で男の都合の良いように扱われていた『人斬り与太 狂犬三兄弟』や『仁義なき戦い 頂上作戦』の渚まゆみを思い出す。石井隆作品における名美でもいい。松子は昭和の耐える女そのものだ。
何故、松子がそこまで堕ちていかなければならなかったのか?それは松子自身が、淋しがりやで愛に一途でピュアだから、ということなのだが、晩年を除いて、常に男を絶やすことがなかった松子なのだから、松子という女性自身も魅力的であるという説得力は必要だ。要は、松子は精神的にも肉体的にも男好きのするキャラでなくてはならない。そういう意味では、松子演じる中谷美紀は完璧。たとえバストトップは見せなくとも肉感的な女性であることは充分過ぎるほど表現出来ている。性格はこうだと決めたら一気呵成の激情型。男は最初から肉体で繋がりたがるので、そういう意味で松子はたいそう都合が良い。でもこの性格は、少々行き過ぎた行動にも走らせる為、その内、男に重くのしかかってくる。やがて男は皆、松子から離れていくのである。
この映画をみた女性の感想を是非聞いてみたいものである。男にとっては、必要以上の感情移入もなく「或る一人の女性の悲喜劇」としてドライに物語を捉えることが出来るだろう。女はどうだ?こういう生き方もアリと思うかな?あるいは、ここまで愛に真っ正直に居られることは羨ましいと思う?それとも、自立した女性の観点でみると、松子に対して嫌悪感を抱く女性もいるかもしれない。学生時代に心理学科の学生が、映画の暴力的なワンシーンを無作為に選んだ人たちに見せて、どう感じたかという統計をとっていた。この映画もジェンダー論かなんかの題材に使えそうな気がするが。
『嫌われ松子の一生』
監督:中島哲也
脚本:中島哲也
撮影:阿藤正一
音楽:ガブリエル・ロベルト
渋谷毅
出演:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、柄本明
市川実日子、香川照之、谷原章介、ゴリ
黒沢あすか、劇団ひとり、谷中敦、濱田マリ、
BONNIE PINK、武田真治、荒川良々、
柴咲コウ、カンニング竹山、宮藤官九郎
(2006、『嫌われ松子の一生』製作委員会)
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