日本映画の感想 『となり町戦争』
原田知世、久方ぶりの角川映画ということで、さわりだけ確認しようと夜遅くから見始めたが、見始めたらこれがなかなかに面白くて、結局そのまま最後まで見てしまった。しかし、とっくにオバさんと言われても仕方が無いアラフォー・原田知世のこの可憐さはどうだ?同じく童顔の小泉今日子は歳を重ねるごとに気持ち悪くなるというのに(異論は認める)。
タイトル通り、この映画ではとなり町同士の戦争が描かれるが、戦勝“町”が敗戦“町”を牛耳ることはない。戦況は、町長の支持率に影響を与えるらしいが、戦争をすることによって具体的に何が得られるか?もっと言えば、何の為の戦争なのか?ということは遂に明らかにされない。そして、この戦争はれっきとした公共事業として行われている。
「開戦」と言われても、なかなか実態を見せない戦争に主演の江口同様、観ている側もやきもきしてくるが、つまり、戦争やお役所仕事の不条理さをわかり易い形で表現しているに過ぎないので、この場合、戦争の理由や戦闘内容はどうでもいいことなんだろう。
結局、戦争は何時何処 で行われているかわからないほど地味なゲリラ戦と、江口が巻き込まれる情報
戦に終始する。だが、日常の風景の中に、表現される“戦時中”は恐ろしくリアル。町の広報誌で掲載される戦死者、何気ない道端に引かれる町境を表す白線、アイデンティティの塊のような原田知世と瑛太演じる姉弟、たかがとなり町へ行くだけなのにまるで今生の別れかのような、原田知世が呟く「サヨナラ」の言葉、そして闘争心育成樹・・・これはもう、アイデアの勝利そのものでしょう。題材に乏しいハリウッドあたりに売りつけてやりたいネタであるが、残念ながら米国にはリアルな戦争がある。この映画の舞坂町と森見町のように、スッパリと断裂された国が日本のお隣にもリアルに存在する。
今のところ、表面上、憲法上、完全に戦争を放棄した日本でこそ為し得た「戦争映画」。或いは、戦争を放棄したところで、平和なのか?幸せなのか?と問われれば、とてもじゃないがそうだとは言い切れない、日本でこそ為し得た「戦争映画」という言い方でもいい。
『となり町戦争』
監督:渡辺謙作
原作:三崎亜記
脚本:渡辺謙作
撮影:柴主高秀
音楽:Sin
出演:江口洋介、原田知世、瑛太、
余貴美子、菅田俊、岩松了、
小林麻子、柴本幸、飯田孝男
(2007、『となり町戦争』製作委員会)
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