日本映画の感想 『暴走パニック 大激突』
タランティーノがこよなく敬愛する深作欣二。本作はタランティーノのカンヌ受賞作、「パルプ・フィクション」の元ネタになったと言われている。いろいろな場所で起こる、個々にはまったく関連性の無い出来事が最後には一つに集結して、本当に“暴走”して、“パニック”になって、“大激突”してしまうという非常にタイトルに正直なとんでもない映画。
ラスト20分の“暴走パニックカーチェイス”は、30年以上前の日本映画としては信じられないほどのド迫力。銀行強盗して逃げる渡瀬を執拗に追う川谷拓三巡査、そのカーチェイスで追突を受けた酒屋のオッサン、タクシーの運ちゃんがそれぞれ「くそポリ~」と怒り心頭でカーチェイス参戦。更には、渡瀬の金を狙う元相棒(小林稔侍)の兄貴・室田日出男。追突されて賠償金をガッポリ頂こうと目論むオバハンと若い兄ちゃん。仲間を轢き殺された暴走族集団。国営放送「MHK」の中継車、いつから参戦しているのか?皆目検討がつかないヤクザetc、史上稀に見る大激戦は必見である。もう既に廃車みたいな車が郊外の埋立地を走る、という確かにハリウッドなどのチェイスと比べれば、限りなく泥臭いんだけれども。
しかし、普通は強盗犯と警察のカーチェイスに一般市民が巻き添えをくらうことはあっても、自ら参戦することなどまず無いとは思うのだが、この映画では、それぞれが「怒り」であったり、「賠償金目当て」であったり、「復讐」であったりとその経緯はバラバラでもいとも簡単に参戦してしまう。しかも、“いらち”で柄の悪い関西人たちなので、それが少しも不自然には見えないというのがこの映画のミソでもある。
『暴走パニック 大激突』
監督:深作欣二
脚本:神波史男、田中陽造、深作欣二
撮影:中島徹
音楽:津島利章
出演:渡瀬恒彦、杉本美樹、室田日出男、
川谷拓三、小林稔侍、渡辺やよい、
風戸裕介、曽根晴美、三谷昇
(1976、東映京都)
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