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日本映画の感想 『女地獄 森は濡れた』

公開一週間で官憲の手によって上映中止に追い込まれた本作。
上映直後にパゾリーニが出演俳優から殺害された『ソドムの市』と同様、サドの映画化にはいつも“いわく”が付きまとう。それはやっぱり、性描写そのものの問題以上に、サド作品が道徳観や倫理観といったものをことごとく突き放すからだと思う。

豪華な山荘、高級料理に高級外車・・・贅の極みを尽くす資産家・山谷初男。
性への追求も底なし。山谷の異常性欲に妻・中川梨絵や女中・山科ゆりらも完全に洗脳されている。女を犯している最中の高橋明のカマを掘る山谷という情景は完全に常軌を逸しており、嬲る(なぶる)という表現がぴったりだ。さらに女中に命じて、そんな最中の自らの背に鞭を打たせ、恍惚に浸る様はまさに異常性欲。とにかくこの山荘には倫理やモラルや秩序といったものは存在しない。「そんなものは権力者達が都合の良いように作り上げたルールであり、堅苦しいことこの上ない」とのたまう山谷・・・

官憲の手が入るということは、権力者たちが万人に見せたくないからである。
要するに権力者たちにとってこれは見られると都合が悪い代物である。
上映中止というセンセーショナルが、奇しくも上記の山谷のセリフを立証してしまったことが、何とも皮肉めいていて面白い。神代監督の“どや顔”が目に浮かぶようである。

由緒ある(?)資産家でありながら、何故かべらんめえ調なセリフ回しが可笑しい異常世界のオーガナイザー・山谷初男。犯され、鞭打たれ、全身に返り血を浴びながらも「ウヒャヒャヒャ」と笑い転げるエキセントリック・中川梨絵。人殺しの冤罪をかぶり、やっとの思いで山荘に逃げ込んだつもりが、更なる無間地獄に突き落とされてしまっても、何故か一向に感情が昂ぶらないダウナー・伊佐山ひろ子。いつも通り精神薄弱そうな山科ゆり。中川に銃殺され、山谷に身包み剥がされ女体盛りならぬ死体盛り(局部にバナナの房があてがわれており笑える)にされるという、今回は情けない役どころの高橋明。
以上が主な出演陣。


 『女地獄 森は濡れた』                          Onnajigoku
  監督:神代辰巳
  脚本:神代辰巳
  原作:マルキ・ド・サド『新ジュスティーヌ』
  撮影:前田米造
  音楽:春野新一
  出演:山谷初男、中川梨絵、伊佐山ひろ子、
      山科ゆり、絵沢萌子、高橋明
  (1973、日活)

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