日本映画の感想 『青春の殺人者』
水谷豊が父親・内田良平を殺害してから、母親・市原悦子が帰宅して以降、この二人によって繰り広げられる死体の処理の論議、そして母親殺害・・・長い時間を割いた二人芝居が壮絶過ぎて、ここでもう一本の映画を観終わったような脱力感に襲われる、天才・長谷川和彦監督渾身のデビュー作。
“子供による両親殺し”という製作当時としてはかなりセンセーショナルな題材を扱っています。ただ、今の時代、尊属殺人などセンセーショナルでも何でも無くなってしまったので、つくづく嫌な時代になったなぁと思いますけど。
特別に異常なところは何もない青年が何故両親を殺してしまうという凶行に走ってしまったのか?圧倒的な母性の塊と抑圧的な父性の狭間で、結局は親子関係が濃密になり過ぎて、子の親離れあるいは親の子離れという双方の失敗があるのかもしれません。ただ、親に向かって「死んじまえ!」と一度は思ったことのある多くの若者は、この主人公の姿にきっちりと己の姿を重ねてしまうのだろうとも思います。実際、僕だってそうです。主人公の絶望と後悔を嫌々ながらも共有してしまう自分がいます。
歪んだ人間関係、親子関係、理性という歯止めを失った若者世代、混沌と絶望的状況に向かっていく時代の流れをまるで予見したかのような作品です。
『青春の殺人者』
監督:長谷川和彦
脚本:田村孟
撮影:鈴木達夫
音楽:ゴダイゴ
出演:水谷豊、原田美枝子、市原悦子、
内田良平、白川和子、江藤潤、
桃井かおり、地井武男、三戸部スエ
(1976、今村プロ・綜映社・ATG)
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)























![: 昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51S1RLiua2L._SL75_.jpg)





最近のコメント