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日本映画の感想 『濡れた荒野を走れ』

とにかく異常なパワーに満ちた映画であります。
ロマンポルノですが、日活ニューアクションの雄・澤田監督と長谷川和彦脚本ですから、必然と反権力性とアクション性の強い内容です。

悪徳刑事・地井武男&高橋明による精神病院から脱走した元同僚・井上博一の追走劇。警察の腐敗の描き方もスゴいですが、主人公達がそこにジレンマや自戒の念を抱くわけでもなく、ひたすらに「井上をどのように始末していくのか」という地井&高橋目線で物語が進んでいくところも非常にパンキッシュであります。

井上は偶然列車に乗り合わせた女子高生・山科ゆりを人質に逃亡を続けます。地井始めとする警察内部では、井上が本当のキチガイなのか、演じているのかで議論が分かれている様ですが、井上は本当に記憶喪失みたいで常に何かにうなされている模様。でも、人質といえども山科に対して悪意はなく、山科もそんな井上に対して、好意を抱きます。そこはポルノ映画ですから、自然の流れで二人は河原でセックスします。どうでもいいことですが、身体が石ころで痛くないんでしょうか?
ラジオ番組のリスナーのやり取りから、地井は井上と山科がアングラ劇団の野外合宿に参加することを知り、現場に井上の妻・川村真樹と向かいます。何だかゆるいアングラ演劇を冷めた目で見つめる地井、高橋が笑えますが、何故かここに暴走族が乱入して火を放ちます。この突発的なトラブルにやけっぱちになった地井は高橋に川村真樹をレイプさせ、いい加減井上の目を覚まそうとします。記憶を取り戻した井上は高橋に銃を乱射、流れ弾が川村の左乳を貫通し、川村絶命。弾が無くなった井上の額に向けて非情に引き金を引く地井。涙にくれる山科は地井に「あなたは可哀相な人」と言ってやります。図星を付かれたような気がしたのか、地井は一瞬狼狽こそしますが、最後には不気味な笑みを浮かべて去っていくのでした・・・。

敬虔な牧師が必死になってかき集めたベトナム復興募金を計画的に強盗する地井武男のワルさ加減がスゴいです。本当に70年代の地井武男の憎々しさは最高ですね。この憎々しさといったら、東映映画でも際立つほどのコクがありましたから、相当なもんです。こんな人が現代では、生命保険のCMで備えの大切さを訴えたり、散歩したりしているわけですから、人間わからないもんです。そんな極悪・地井武男の連れが高橋明。わかります。この人に関しては適役です。何かとズボンを下ろしたがるような役をさせたら、この人の右に出る者はいないでしょう。一見、真面目な顔をした異常者を演じる井上博一。良いですね、この人も。『色情旅行 香港慕情』に続き、ポイント高し。女子高生役の山科ゆり、これもポイント高し。山科ゆりフリーク(現代にいるかどうかわからないが)には辛抱たまらんのではないでしょうか。一方で、乳房から血が大量噴出という悲惨な死に方をする、川村真樹のエロケバい感じが好みな人もいるでしょう。
以上、主な出演陣でした。


 『濡れた荒野を走れ』                            Nureta_2
  監督:澤田幸弘
  脚本:長谷川和彦
  撮影:山崎善弘
  音楽:多摩零
  出演:地井武男、高橋明、井上博一、
      山科ゆり、川村真樹、大山節子
  (1973、日活)

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