日本映画の感想 『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』
冒頭。番傘をくるくる振り回しながら、男たちと立ち回りを繰り広げる池玲子。なぜか無意味に肌の露出が多くなり、最後には全裸で男たちをバッタバッタとなぎ倒していくが、全裸になって暴れていても落ちた番傘によって、局部はうまい具合に隠れてしまう池。ここまでがタイトルバック。
スリが横行する何やら柄の悪そうな土地に降り立ち、近い将来を危惧する池でしたが、案の定、ならず者の集団(首領は名和宏)に捕まってしまい、辱めを受け、股裂き殺人の濡れ衣を着せられてしまいます。ストーリーは、そんな池を軸に、出所間もないヤクザ・内田良平、梶芽衣子ルックの怪しいスケバン集団、ヤクザどもに薬の運び屋をさせられていた女スリ軍団、今や極悪一家となった遠藤辰雄率いる扇屋一家。扇屋のヤクの取引先、九州のヤクザ一家。このヤクの取引ラインの間に立って、ヤクを偽物とすりかえてしまうならず者集団・名和宏率いる神戸のヤクザ達。以上これらのグループが複雑に絡みあって、最後には結局ヤクザはヤクザ、女は女で結託し、大激突するという(内田良平は女グループに属す)文章に起こすのが非常に困難なストーリー展開です。
混沌させるだけさせて、最後は一つに収束させてしまえばいいというやり口は強引というほかありませんし、小便、鼻水、血飛沫、麻薬、その他諸々・・・まったくもって趣味の悪い映画と言ってしまえばそれまでなんですが、そういう下ネタ的描写をテンポの良さやギャクの応酬でもって、ギリギリで浄化して、娯楽作品たらしめるのが石井映画の素敵なところです。例によって、必然性のかけらもなく大量にさらけ出されるオッパイ、敵対しながらもどさくさ紛れに兄弟の契りを交わす、軽過ぎる名和宏と遠藤辰雄、ちんどん屋みたいな精神病院・・・女のあそこにヤク入りの瓶を隠すなんて発想もスゴいですが、誰がこんなお話考えるんでしょうね?まぁ、脚本担当・石井監督、掛札昌裕、関本郁夫の三氏なんでしょうけど。
池玲子。東映・天尾プロデューサーの捏造疑惑もありますが、プロフィールを真に受けると当時まだ19歳前後と思われます。年齢からは信じられない色気。歩くエロです。ムード歌謡を通りこしてほとんどエロ歌謡と化している「お蝶のブルース」も素晴らしいです。歌唱力はちょっとアレですけど。ただ、ポルノ女優の代名詞ばかりが付きまとう人ですが、本作では殺陣も格好よく決まってます。他の女性達の殺陣にたどたどしさを感じてしまうので余計にそう思うのかもしれませんが、いつか由利徹が言っていたと思う“グンバツのボイン”なボディは抜きにしても、根本的にスター資質があった人なのかもしれません。
妖艶、快活、猥雑・・・どんな表現にも当て嵌まりそうな、本作での鏑木先生の音楽。格好良いです。サントラがあれば、確実に購入します。
『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』
監督:石井輝男
脚本:石井輝男、掛札昌裕、関本郁夫
撮影:わし尾元也
音楽:鏑木創
出演:池玲子、内田良平、愛川まこと、
根岸明美、名和宏、遠藤辰雄、
嵐寛寿郎、芹明香、大泉滉
(1973、東映京都)
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